006 ● 装弾の初速
掲載第6回目は、散弾装弾の初速についてのお話です。
▲散弾装弾の構造▲
散弾装弾についての話題で多いのが、初速のお話だと思います。これはつまり引き金を引いてから弾がクレーに届くまでの遅れが、初速が早い方が短いから当るといった物だと思います。
そこで実際の装弾のデータを元にどの程度の差があるのかを比較検討してみようと思います。
ここではトラップ用の7半の24gと28gの装弾について比較します。
下の表は上段がアメリカで販売されている代表的な24g装弾のデータです。下段の表は同様に28g装弾のデータです。
製品名
各ヤード距離までの到達時間(秒)
初速
散弾数
散弾
重量
0
20
30
40
50
銃口
3
フィート
B&P
Comp2000
0
0.0527
0.0881
0.1299
0.1784
1469
1350
302
24g
Fiocchi
0
0.0527
0.0881
0.1299
0.1784
1469
1350
302
24g
Federal
Gold Medal Papar
0
0.0534
0.0891
0.1313
0.1802
1447
1330
302
24g
Federal
Gold Medal
0
0.0534
0.0891
0.1313
0.1802
1447
1330
302
24g
Winchester AA
0
0.0534
0.0891
0.1313
0.1802
1447
1330
302
24g
Remington STS
0
0.0534
0.0891
0.1313
0.1802
1447
1330
302
24g
B&P
Comp2000
0
0.0568
0.0943
0.1383
0.1893
1341
1235
350
28g
Fiocchi
0
0.0553
0.0921
0.1652
0.1853
1385
1275
350
28g
Federal
Gold Medal Papar
0
0.0604
0.0999
0.1460
0.1991
1241
1145
350
28g
Federal Gold Medal
0
0.0592
0.0980
0.1433
0.1957
1274
1175
350
28g
Winchester AA
0
0.0592
0.0980
0.1433
0.1957
1274
1175
350
28g
Remington STS
0
0.0592
0.0980
0.1433
0.1957
1274
1175
350
28g
注)
黄色はイタリアメーカー、水色はアメリカメーカー製品

各製品ですが、アメリカではいわゆる国際ルールのトラップはあまり行われていません。そのため24g装弾はインターナショナルトラップ装弾として各メーカーから発売されていまが、種類は28gほど多くはありません。ただし日本で発売されている物とほぼ同じ製品です。
28g装弾については、アメリカントラップで一番使用されている装弾ですが、日本と違った目的で、いろいろな性能の物が発売されています。しかしここでは国内でも入手できる物を取り上げました。
さてこの表を見て気が付く事は、メーカーが違っても「
初速が同じ設計の弾は同じ飛行性能を持っている」ということです。
また24gでは装弾の違いによる到達時間の違いは40ヤードでも百分の1秒以下で無視できる範囲です。まあそれもそのはず、公認された装弾は初速(10ヤード)を1330〜1350に統一して設計されているからです。
また24gと28gを比較すると、ほぼ28gの方が初速が遅い設計になっています。これは初速を上げると反動が大きくなるために幾分初速を押さえてあるのだと思います。28g装弾についてはアメリカでは初速を上げた装弾と、逆に初速を下げたマイルド装弾なども各種発売されています。
しかし実際の性能に違いがあるわけで、これは初速より、パターンの違いが大きいと思われます。実際、同一メーカーの製品でも
「散弾に硬化処理をしていて、形状も良い」「ワッズの性能が良い」製品の方が高価で、ユーザーの評価も高いようです。
反動については、初速が同じならほぼ同じですが、シングルベース、ダブルベースの違い、燃焼カーブの違い、ワッズの違いによっても差が出てくるようです。

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