001 ● チョーク(絞り)のお話
掲載第1回目は、チョークのお話です。
基本的な皆さんご存じの内容ですから、ベテランの方はがっかりしないでくださいね。
▲チョークとはなに?
散弾銃の銃身内径は薬室から続く銃身全体で基本的に同じ径ですが、銃口に近付くと下図の様に銃口に向かって径が小さくなっている部分があり、この部分を英語でチョーク(CHOKE)、日本語で「絞り」といいます。
▲チョークは替えられるの?
ほとんどの射撃専用銃には銃身そのものに絞りが内蔵されていて交換できませんが、ねじ込み式の交換チョークが使える銃も多いです。
←薬室 銃口
▲なぜチョークが必要なの?
散弾は発射の瞬間、装薬(火薬)の爆発により膨張するガスにより、銃腔内を銃口に向かって押し出されて行きます。このときチョークがなければ、散弾は銃口を出るとすぐに広がりはじめて飛んで行きます。この時の散弾は下図のように幅と長さを持った紡錘形の塊まりとして飛翔しています。
散弾のショットコロンの模式図(解りやすいように弾が実際より大きく描いてある)
この弾の塊まりは銃口から離れて距離を飛ぶほどに、拡がって弾と弾の間隔が離れていき、ある程度飛ぶと弾の間隔がクレーの大きさを上回ってしまい、照準は正しくてもクレーに当たる散弾の個数が少なくなったり、全く当たらなくなってしまいます。そこで銃口付近で口径を絞ることにより、散弾の散開率を調整することで、クレーを撃つ距離(トラップではほぼ30ヤードから40ヤード)付近で適正な散弾の密度を得ようとするものです。実際効果的にターゲットを割るには連続してなるべく多数の散弾が命中する必要がありますが、あまり密度を上げると塊まりの直径や長さ(コロン)が小さくなり、当たりにくくなってしまいます。そこで経験的に決まったチョークサイズが出来ていて、トラップでは初矢が3/4、後矢がFULLとなっています。スキートでは絞りなしと思っている方もいますが、スキートチョークというメーカーごとに多少の差がある僅かな絞りが施されています。
▲チョーク(絞り)の種類
絞りの種類には下表のような種類があります、これらのほとんどは狩猟のために必要なもので、射撃ではいくつかしか使いません。なおこの表で記載の数値はいくつかのメーカーの平均的なもので、実際はメーカーによって異なっています。
アメリカ表記
イギリス表記
日本表記
サイズ(インチ)
用途
CYLINDER BORE
CYLINDER
平筒
0.000
スラッグ
SKEET
SKEET
スキート
0.005
スキート、近射猟
IMPROVED CYLINDER
1/4
改良平筒
0.010
近射猟
LIGHT MODIFIED
3/8
-
0.015
近射猟
MODIFIED
1/2
半絞り
0.020
中距離猟
LIGHT IMPROVED MODIFIED
5/8
-
0.024
中距離猟
IMPROVED MODIFIED
3/4
3/4絞り
0.025
中距離猟、トラップ初矢
LIGHT FULL
-
-
0.028
遠距離猟
FULL
FULL
全絞
0.030
遠距離猟、トラップ2の矢
EXTRA FULL
EX.FULL
-
0.040
遠距離猟
絞りの効果は下表のようになります、この表は40ヤード(36.4m)の距離で直径30インチ(0.76m)の円内に当たった散弾の割合を表しています。ただしスキートは25ヤードでの数値を使っています。トラップでは40ヤード付近でクレーを撃ちますから、初矢はIMPROVED MODIFIED(インプモデ)が63%前後で最適と思われます。2の矢は45ヤードぐらいと考えると、FULL(フル)がよいと思われます。
そこで各社のトラップ銃は下銃身がIMPROVED MODIFIED、上銃身がFULLになっています。スキートでは各社の考えが異なりますが、ほとんどのメーカーではわずかながら絞りをつけています。やはりCYLINDER(平筒)ではパターンが悪いようです、交換チョークメーカーによっては0.01ぐらいまで絞ったチョークをスキート用のバリエーションとして提供しているところもあります。
チョーク種類 弾密度(%)
CYLINDER BORE 40
SKEET 50
IMPROVED CYLINDER 50
MODIFIED 60
IMPROVED MODIFIED 63
FULL 66
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