殿下のコラムメニューへ戻る
日記第11回スキート射撃の壁と対策

スキート射撃をやっていない人、始めて間もない人から、同じような質問を受けることがあります。これらについて、私なりの対策や私が教えて貰った方法を紹介したいと思います。

11-1.ルール(撃つ順番)が判らない

各射台が同じ状況となるトラップ射撃と違い、スキート射撃は射台毎に撃つ順番が微妙に異なります。最初はこれが判らず、プール(またはハイハウス、射面向かって左側)からのクレーを撃破するのにマーク(またはローハウス、射面に向かって右側)に向かって構えたりして。私ももちろん同じような間違いをやって、プーラーさんから「逆だよ〜、逆。そっち向いてちゃ永遠に当たんないよ〜。」とマイクを通じて指摘されてしまいました。(-_-;)

よく「前に撃つ人を見ていろ」なんてことが言われます。でも、初心者に周りを見ている余裕なんてありませんし、一人で撃っているときはどうすればいいの。それにスキート射撃にはジャパンルール(※1)という射撃順番が異なるものも存在します。猟友会などではこのジャパンルールで行われているようですが、いわゆる射撃競技としては国際ルール(※2)の方が一般的です。自分が志向するものと異なる人が前で撃っていたら参考になりませんね。

で、対策ですが、学生時代を思い出してカンニングペーパーを作りましょう。下の表(国際ルールでの射撃順)を小さな紙切れに書いて、ベストのポケット忍ばせておきましょう。撃つ前にカンニングペーパーを見るのですが、確認するのは自分に順番が廻ってくる前(射台に入る前)にしましょう。射台に入ってからでは、余計に時間が掛かって他の人に迷惑がられる可能性があります。

射台 撃つ順番
1 2 3
1番 プール ダブル(プール→マーク) -
2番 プール ダブル(プール→マーク) -
3番 プール マーク ダブル(プール→マーク)
4番 プール マーク ダブル(プール→マーク)
5番 プール マーク ダブル(マーク→プール)
6番 マーク ダブル(マーク→プール) -
7番 ダブル(マーク→プール) - -
8番 プール マーク -

余談ですが、ある公式Aクラス射手からこんなことを言われました。

  • スタンス、身体の使い方、目線・・・などは射台に入る前に確認しておくこと
  • 射台に入ってからは、クレーを撃破することのみに専念すること

この方曰く、射台に入ってからあれこれ考えるようじゃ射撃に集中出来ない、そんな「準備」は射台に入る前に済ませておけ、ということです。もちろん私はそんな域に達しておりませんが、その心掛けは見習いたいと思っています。

11-2.リード(狙い越し)が判らない

トラップ射撃はクレーを追い越した瞬間に撃て、などと言われると思います(すいません、トラップ射撃経験1回なので違っていたらご容赦ください)。スキート射撃の場合は、特定の射台を除いて、クレー自体を狙っても絶対に当たりません。クレーが飛翔する前方を撃つことになります。これはクレーが横方向に飛んでおり、散弾が発射された瞬間から飛行線上に到達するまでにもクレーは移動をしていることから理解して頂けると思います。このクレー前方の撃つポイントとクレー自体の距離をリードまたは狙い越しなどと呼びます。

このリードは射台毎に異なります。クレーの飛翔方向は毎回一緒ですが、人間の立ち位置(射台)が異なるので、リードも異なってきます。理論的にはクレーの飛翔方向と射台からクレーを狙う線の交差する角度が、直角に近いほどリードは大きくなり、この角度が小さくなればリードも小さくなります。

但し、「飛行標的射撃 実習教本」に書いてあるリード分だけ前を撃てば当たるかというと、そうでもないのが難しいところです。個々人のスウィングスピードや射法(リード射法とかスウィング射法とか、残念ながら私には語れる知識がありません)によってもリードの大きさは異なってくるそうなので、教本に書いてあるものを目安に自分で当たるところを探しましょう。それが練習ってもんです。(^o^)丿

11-3.挙銃動作が難しい

トラップ射撃に無くて、初心者の障壁になるスキート特有のものに挙銃動作があります。まぁ本当に初心者のうちは挙銃動作に気を取られて射撃がいい加減になると、余計に当たらなくて面白くありません。なので、最初はトラップのように構えて撃っていても良いと思います。でも、さっと挙銃して撃ったほうがかっこいいですよね。

で、練習方法ですが、残念ながら自宅で挙銃練習するということ以外に妙案はありません。(^^ゞ 私が指導されたのは、最初は慌てずゆっくりと正確に、慣れてきたらスピードアップ、ということでした。ポイントは頬の肉が盛り上がるくらい、きっちりと頬付けすることだそうです。きっちり頬付けすることによって、目と照星(トップリブ)の位置関係が一定になり、狙いが安定してくるそうです。まぁ、この辺の事は上級者などに聞いてみてください。もしかしたら他にも色々理論のようなものがあるかもしれません。

国体にも出場したある射手は、自宅での挙銃練習で畳がスタンスの位置だけ磨り減った、という逸話を持っているそうです。「あんた王貞治かいっ!」と突っ込みたくなる逸話ですが、それほど挙銃練習が重要とのことでしょう。いつも一定に正確に銃が構えられれば、狙いも一定で当たるはずです。挙銃動作が速ければ、早くクレーを撃つことができ、ダブルの後矢(2枚目のクレー)を打つ際には有利になります。自宅でテレビを見ているとき、CMになったら挙銃練習するとか工夫してみてはいかがでしょうか。

11-4.空いた時間で一工夫

お金と暇が有り余っている方は関係ありませんが、一般的な方は練習時間がある程度限られてくると思います。私が行っている一つを紹介すると、通勤の電車の中で挙銃練習しています。勿論、銃は持ち込めませんし、傘で代用するなどというようなことではありません。電車の窓から電柱などが見えたタイミングで、ぎゅっと強くつり革(の輪)を握るだけです。挙銃する瞬間の反応速度を上げようという試みなのですが、効果のほうは・・・。また、作ったカンニングペーパーを持ち歩いて、英単語学習のように暗記してしまうとか。皆さんも練習方法をちょっと工夫してみてはいかがでしょうか?

※1:ジャパンルール

主に猟友会や銃砲店・射撃場等の射撃大会のスキート射撃競技に用いられるルールです。各射台での撃つ順番は以下の通り(だと思いました、あまり自信なし)。

射台 撃つ順番
1 2 3
1番 プール マーク ダブル(プール→マーク)
2番 プール マーク ダブル(プール→マーク)
3番 プール マーク
4番 プール マーク プール
5番 プール マーク
6番 プール マーク ダブル(マーク→プール)
7番 プール マーク ダブル(マーク→プール)
8番 プール マーク

※2:国際(ISSF)ルール

日本クレー射撃協会や各都道府県クレー射撃連盟主催の公式戦やワールドカップ・オリンピックなどの国際試合に用いられるルールです。各射台での撃つ順番は前述の通り。